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二階堂さんとすれ違う。
西野は何だか寂しそうに、微笑んでいる。
いつも真ん丸い大きな瞳は、憂いを帯びたような伏せ目になっていた。
くうぅ、なんなんだ!コイツのこのギャップは!!
こんなに様子がコロッと変わったら、気になりたくないものも気になるだろーがっ!!
「……なあ、二階堂さんに話した方がいいんじゃないか?」
あまりにも寂しそうな顔してるから、気を利かせてみた。
「…でも、蓮華はきっと覚えてないだろうし、それに…あまり困らせたくないから。」
あんなに私を困らせたくせに、困らせたくないとは…よく言えたもんだな。
…なんて内心睨みながら思っていると、西野は私にいつもの笑顔を見せた。
「僕は大丈夫だから。麗ちゃんは自分の恋愛を気にしてて。
ね?」
西野の言葉に一応コクンと頷いた。
そして、私達は玄関まで来た。
お互い自分たちの下駄箱に行こうとしたら………なんと!
左斜め前に尚哉くんがいるじゃないか…!!
今日も神々しい!
尚哉くんに気付いた私は思わず足を止めた。
心臓の脈が加速し、ついつい見入ってしまう。
「麗ちゃん、靴履かないの?」
それに気付いた西野が外靴を履き終え、私に問いかけてきて、ハッと我に返った。
「あ、ああ。履く履く。」
尚哉くんから急いで目を逸らし、外靴を出した。
尚哉くん、気付いてくれないかな?気付かないかな?
ドキドキしながら尚哉くんをチラッと見ると、今度はバチッと目が合った。
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