1876人が本棚に入れています
本棚に追加
/63ページ
「お前って…。」
悩みとか無さそうでいいな、と言おうとしたが、途中で噤んだ。
いいや、コイツにも悩みはあるんだった。二階堂さんのこととか…きっと他にも顔には出さないけど、沢山悩みを抱えているはずだ。
「麗ちゃん?
どうしたの?」
私が言葉を止めたことに疑問を抱いたのか、西野はキョトンとした表情で首を傾げ、こちらを見ている。
「な、何でもない!」
「…?
おかしな麗ちゃん。
いつもおかしいけど。」
笑って言う西野にカチーン。
はい、イラッときましたー!
「大体お前が…っ!
…西野?」
怒ろうと思ったが、今度は私がキョトンとする番だった。
西野は何かに怯えたようにブルブルと震えている。
「お、おい…。大丈夫か?」
「…麗ちゃん。僕、具合悪くなっちゃったから、別の道を通って帰るね。
ごめんね。」
本当に具合悪そうだな。
1人で帰って大丈夫なのか…?
「あ、西野…。」
「ばいばい…また、明日。」
西野は微かに笑って、でも具合悪そうで…曖昧な表情をして走って行ってしまった。
「何なんだ…?」
かなり辛そうに見えたが……。
腹痛か?頭痛?寒気か?
まあ、いいか。明日になったら治るよな。
西野が帰った方角から目を逸らし、前を向いて帰り道を歩き始めると、隣りのクラスの霧山 侑弥と霧山 彰弥が居た。
……西野と同じクラスだったよな。
やっぱり顔がそっくり過ぎて、じっくり見ないと見分けが難しいな。
と思いながら、歩を進めた。
最初のコメントを投稿しよう!