*+。あの子とお前。+*

4/14

1876人が本棚に入れています
本棚に追加
/63ページ
「はい、アドレス受信っと。後で送るから。」 アドレスを送信し終わったら、尚哉くんは携帯をパチンと閉め、笑った。 「あ、うん。そういえば尚哉くんは何で図書室に?珍しいよね。」 「今日部活が遅い時間から始まるからさー、ちょっと暇つぶしにブラブラしてたら、森澤さんが見えたからさ。」 「え?…そ、そうなんだ。」 嬉しい言葉のはずなのに、大した反応も出来ない。 顔が赤くなるのが自分でも分かった。 尚哉くんの…好きな人って、どういう人なんだろう。 「尚哉く…」 「待って。」 私の背後から聞こえた声。 これは、紛れもない西野の声。 私は咄嗟に後ろを向いた。 いつのまにこんなに近くにアイツが居たん………だ……。 振り向いて見た先には、西野と…二階堂さん。 2人の唇が一瞬だけ重なったように見えた。 急なことで、私は目を大きく見開く。 何やってんだ…? 「…………。」 何だか目の前が真っ暗で、言葉も出てこなくて……。 喉の奥で、何かがうずうずと疼いてる感覚が堪らなく不愉快だ。 西野は、私なんか見えてないみたいで、そのまま二階堂さんに二言、三言声をかけて図書室を出て行った。 二階堂さんは二階堂さんでポカーンとしているのが、私から見ても分かる。 「うわー、図書室で大胆だな。ね、森澤さん。」 「……え? あ、そ、そうだね。」 思考停止していた私の頭の中に尚哉くんの声が聞こえ、思考をフル回転させて必死に言葉を探すけど、なかなか言葉が出てこない。 ただ、ただ、西野が出て行った方向を見つめるしか出来なかった。  
/63ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1876人が本棚に入れています
本棚に追加