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でも、蓮華のあの驚いた表情を思い出すと……。
傷付いたんだろうな…。
好きな人いるんだろうな…。
いるんだろうな…じゃないや。
いるんだよね…。
そう思うと、何だかすぐに謝りたくなってきた。
ファーストキスだよね、きっと。
逆にファーストキスじゃないと嫌だけど。
実は、僕もファーストキスだったりするから。
蓮華と一緒だ…。
慣れてるみたいな言い回しをしてみたけど、正直に言うと慣れてるのは頬に軽くキスし合うことだけであって、唇と唇でするのは今日で初めて。
平然な顔してキスしたけど、ドキドキしたのは僕も一緒なんだよね。
「ふふ。チャッピー、僕好きな子いるんだっ。」
チャッピーに笑いかけると、チャッピーも嬉しそうに笑ってくれた。
「可愛いですね。」
通りすがりの女の人が声をかけてきた。
でしょ?チャッピーは僕の自慢のワンちゃんだからね。
「ありがとうございます。」
笑って返事をすると、女の人は少し照れくさそうに笑って、僕の前から去っていった。
「良かったね。オッサンって今日は言われなかったよっ。」
笑って撫でてやる。
チャッピーは気持ちよさそうに眠そうな顔をしていた。
ねえ、蓮華。
叔父さんが働いてる動物園でお仕事を手伝いに行った時、君を見つけて、僕ホントに嬉しかったんだよ。
やっと会えたって、思ったんだ。
君は僕のこと、忘れてたけど、思い出してくれて嬉しかった。
…僕の想いが、少しでもいいから、君に伝わるといいなぁっ。
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