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「お姉ちゃんさー。」
取れたポップコーンのカスをキラキラとした瞳で見つめている私に、美玲は呆れたように口を開いた。
「なんだ?」
「好きな人とかいないの?」
「は?」
美玲の言葉を聞いた途端、私はポップコーンのカスを持ったまま固まってしまった。
「ま、いるわけないわよねぇ。いたら、ちょっとは変わるはずだもんね。」
グサグサッ…と美玲の言葉がトゲのように突き刺さる。
好きな人いるんだが……。
美玲の言葉に何も反論が出来ずにいると、急にヴヴヴヴ…という音が聞こえ、手に持っていたポップコーンのカスを落としてしまった。
「きゃっ!朝倉くんからメールだ!!いやぁ!もぅ!どうしよー!」
美玲は自分の携帯電話の画面を見た瞬間、歓喜の悲鳴をもらした。
あ、あ、朝倉…!!?
朝倉って誰だ!?
男か!?いや、『くん』付けしてるんだから男だろ!
「あ、朝倉って誰だ!?どんな奴だ!?美玲とどんな関係だ!?」
美玲に問い質すと、美玲は冷めた目で私を見た。
「嫌だ、やめてよー。オヤジくさい~。」
「オヤジ臭くて結構!美玲とどんな関係だ?」
「どんな関係って…。美玲の彼氏だけど?朝倉 誠くん!ちょー格好いいのっ。」
朝倉 誠だと…!
知らんぞ!
「な、なんだと…。美玲に男がいたなんて…。」
あまりの衝撃に、私は床に跪いた。
「中学生なんだから、いてもおかしくないでしょ!
ちゃんとポップコーンのカス拾っておいてよね。」
美玲は、ニマニマとした表情で携帯を見つめ、リビングを出て行った。
ポップコーンのカス……シャギーのカーペットだから、全然見えん!
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