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「で、どこに行くんだ?」
外に出たのはいいものの、街中をふらふらと私達は歩いていた。
部活動に向かう生徒が歩いていて、のんびり歩いている自分たちが暇人のように思えた。
暇人なんだがな。
「今度花火大会あるでしょ?あれ、行こうよ」
里沙が花火大会のチラシをバッと私の前に出し、ウキウキとした表情で言ってくる。
「は、花火大会?」
「うん!楽しそうでしょ?」
チラシには、鮮やかな色で咲いている花火の写真が載っていた。
「ああ、懐かしいな。若い頃は、花火大会で遠くに打ち上げられている花火を掴まえようと追いかけたりしたなぁ」
「まだ充分若いのに何言ってんの?」
「すまない。幼少の時を思い出してた」
「もうオヤジくさいこと言わないでよね!
次の花火大会!浴衣着て一緒に行こう!」
「え?浴衣持ってないし、恥ずかしい」
私みたいなやつが浴衣なんて女らしいもの似合うんだろうか…。
「なに恥ずかしがってんの!今しか華やかに着れないよ!
持ってないんだったら貸してあげるから」
「…ありがとう」
まあ、確かに今の内に着ておいた方がいいのかもしれないな。
「じゃあ、レンタル代2000円ね」
金取るのか…。
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