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「というのは、冗談で無料で貸してあげるからね!」
「……ありがとう」
今さっき、里沙の目が金の目になっていたが、気のせいだと思っておこう。
花火大会か…。
本当にいつ以来だろうか……懐かしいな。
小学1年生だった時、両親と妹と花火大会に行った。
小学生になって、初めて行った花火大会は、有名な花火大会だったせいか、やけに人が多くて、観光客も多かった。
幼いながらに、父と母の後を懸命について行って、フと目に入った出店。
ヨーヨー釣りの店だった。
『お母さん、あれやりたい』
ヨーヨー釣りの店を指差すと、母は美玲を抱っこしながら首を横に振った。
『駄目よ。花火が始まっちゃうし、風船に水を入れただけのものじゃない。
それで300円も取るなんて勿体ないわ。他に綿飴買ってあげるから』
そう言う母の言葉に、どうしても従う気にはなれず、私はヨーヨー釣りの前で立ち止まった。
やりたい。欲しい。
『お母さ…』
母がいるであろう場所を見ると、そこに家族の姿は無かったんだ。
はぐれてしまった…と一瞬で分かった私は、すぐさま泣いて、あちこちを歩き回った。
知らない大人ばかりで怖かった。
人混みを歩き回るのに慣れてなくて、泣いて泣いて歩き回ったことを覚えている。
そして、すごくやりたかったヨーヨー釣りを出来なかったのに、帰る時には赤いヨーヨーをぶら下げて帰ったことも覚えてる。
あれは…―
何でだったのかな…―?
どういう経緯で赤いヨーヨーを持っていたのか……それがどうしても思い出せない。
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