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それからというもの、私は連日…西野をとことん避けた。
図書室だって、西野が入ってきたら…隠れてすぐさま図書室を飛び出す…ということを何度もした。
廊下だってドコにいたって気を抜けない。
廊下ですれ違わないように、アイツの教室は避けて通ったりもした。
なのに…-
「あ、麗ちゃんいるかなー?」
わざわざ私の教室に訪れて、私を呼び出そうとしているっていうのは…どういうことだ。
私は西野が来ると察したら、すぐに人影か机の下に隠れ、西野からは見えないようにする。
そして、里沙に頼む。
「西野くん。麗ならいないよ?」
里沙はさらっと嘘を吐いてくれる。
ありがとう!里沙!
「そっか。昨日もここの教室に寄ったんだけど、麗ちゃんいっつもいないんだよね」
西野の困ったような声に、少し心が動かされそうになるが…あんな酷いこと言った手前出られるわけがない。
「えぇ!じゃあ、一週間うちのクラスに見に来てることになるじゃん!まだ話せてないの!?」
「うん…」
声だけで分かる。西野のしょんぼりした顔が目に浮かぶ。
でも…、今度また顔を合わせたら…同じことを起こしてしまうかもしれない。
傷つけるくらいなら、しょんぼりさせた方がまだマシだ。
「そっか。良かったら麗が戻ってきたら、用件伝えておこうか?」
里沙が機転を利かして言ってくれるが
「ううん、大丈夫。
ありがとう!
また来るねっ!!」
西野の明るい声が聞こえ、遠くに行く足音が聞こえた。
机の下に隠れ、鞄で見えないようにしていた私に里沙の溜め息が聞こえる。
「もう出てきていいわよ。
可哀想に…、西野くんが健気すぎて泣けてくるわ」
机から身を出し、自分の席に座ると里沙にギロリと睨まれる。
「…ありがと…ウソ吐かせて悪いな」
「そう思うんだったら、西野くんに会ってよ。
毎日毎日こっちに来て、あんた探して…西野くんに一番申し訳ないよ」
まぁ、そうなんだけど…。
会わせる顔がないんだよな…。
ホント…自分が恥ずかしいよ…。
里沙に怒られたりはしたけど、やっぱりそれからも…私は西野を遠ざけた。
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