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西野の言葉に顔が無表情から間の抜けた顔になるのが自分でも分かった。
「どういう意味だ?」
あまりにも訳が分からなくて聞くと、西野は何がおかしいのかクスクスと片手をわざわざ口元に添えて笑う。
なんなんだよ。
ムッとして西野を睨むと、西野はまだ笑みを浮かべたまま口を開いた。
「麗ちゃん、たまにほっぺが真っ赤になる時があるんだよ。それが見てて可愛くて」
う、嘘だろ!?頬が赤くなるって、なんで!?いつから!?
自分ではまったく気付かなかった・・・。
「なんで!?」
「え~?わかんないよ。でも、たまになるんだよね~」
そう言って私の頬をつんつんと左の人差し指でつついてきて、この時は自分の頬が赤くなるのを感じた。
そんな私を見て、更に笑みを深くし、「あ、またなった」と西野が笑う。
まるでオモチャにされたみたいで私はますます腹が立ち、更に体中が熱く感じた。
西野がひたすら私の頬をつついてくるから、手をパッと掴みとった。
掴んだのはいいけど、そのことに驚いた西野が私を見つめていて、なんだか照れくさくて目線を逸らし、「やめろ」と一言告げた。
すると、ようやく西野が私に悪いと思ったのか、「ごめんねぇ」と顔色を窺うように謝ってきた。
別にそこまで怒ってないから気にしてないと言おうとしたら、西野が笑顔でお門違いなことを言ってくる。
「僕、さっきヨーヨーの流れてた水で手洗ったから汚れてはいないよ~。安心して」
「誰がそんなことで怒るか!!というか、逆に汚く感じるから!」
ついつい奴のすっとぼけた言葉に反応して、大きな声で突っ込んでしまった。
その私の勢いに、西野はただただ笑顔で朗らかな顔を浮かべている。
あんまりこのタイプの人間は深く考えないのか?なら、私が言ったあの言葉も・・・そんなに西野にとっては気にすることでは無かったのか?
また無表情でヨーヨーに視線を戻し、バウンドさせてそんなこと考えていると、
「よかったぁ、いつもの麗ちゃんだぁ」
と西野が明るい声でそう言ったのが聞こえた。
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