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そこへ駆け込んできた一人の少年。
かなり急いできたらしく,鮮やかな茶髪はボサボサで額には汗をかいている。
彼は同じ委員会に所属している大沢優司,16歳。
「今日,委員会っすよね?」
「何言ってるの委員会は放課後。昼休みはアンケート集計だけだからなしって昨日言ったじゃない。」
「え!?そ,そうでしたっけ?」
「……また話をちゃんと聞いてなかったのね。」
「うっそぉ~…俺授業終わって超特急で来たのに…。」
シュンと萎れた姿はまるで怒られた子犬のよう。
ぺたんと垂れた耳が見えるのは気のせいかしら。
その姿におもわず苦笑を漏らすと,いきなりガバッと顔を上げ紗耶香の居る机にバンと手を置く。
こっちを向いている顔はキラキラと輝いておりニッコリと笑っていた。
今度はちぎれんばかりに振っている尻尾が見える。
「な,何?」
「今,先輩一人なんですよね?」
「…見て分からない?」
「なら,ここで飯食っていいっスか!?」
「は?」
「だって授業終わってすぐに来たんで飯まだなんすよ~。今日2時限目が体育だったんで思いっきり動いちゃって,ず~っと腹減ってたんス!もう限界なんですよ~。」
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