第2話 試練

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「ミク、疲れてないか?」 『あたしは全~然平気よ!』 「よし、じゃあ始めるが、その前に俺の話をよく聞くんだ。」 『分かったわ。』 あたし達二人は、人間が何人かいるとこを見つけ、その近くの草むらに潜んでおじちゃんとミーティング中。 「何度も言うが、人間から血を吸うことはかなり至難の業だ。」 『…。』 無言で頷くあたし。 「あいつらから血を吸うためにはさまざまなテクニックが要るから、それをすべて頭に叩き込め。」 『うん!』 「まずは相手の様子を伺え。じゃあ、そうだな…あそこにいる奴、なにしてる?」 『んと…本を読んでるのかな。』 「そうだ。ああいう奴から血を吸うのは極力やめとけ。」 『どうして?』 「気付かれやすいからだ。ああやってじっとしてる時は、わずかな感覚にも感付かれやすいんだ。」 『そ、そうなんだ…。』  あたしは、ごくっと唾を飲む。 『おじちゃん、じゃああそこで向かい合ってお話中の二人は?』 「ああ、あれはもっと危険だ。」 『どうしてなの?』 「視野が広いからだ。二人が向かい合ってるってだけで、視野が2倍になる。」 『つまりは、あたし達の存在に気付かれないようにすることが第一なのね?』  「その通りだ。さすが、クレスタの娘だ。物分かりが早い。」 『えへへ。 …でも、気付かれないようにするにはどうすればいいの?』 「それを今から説明する。いいか、人間の視界は基本的に180度。だから、正面と真横から近づくのは危険だ。」 『後ろから近づけばいいの?』 「それがベストだな。だが、人間は動きが器用だ。後ろから近づいても、振り向かれる可能性がある。」 『え…それじゃあ、ちゃんとしてても叩かれる可能性が高いってこと?』 「いや、ちゃんとするということは、視界に気を付けることだけじゃない。近づき方にもテクニックがいるんだな、これが。」 『へえー。どうすればいいの?』 「原則として、低空飛行することだ。俺達は幸い、体が小さいから地面と同調しやすい。」 『うんうん。』 2度3度頷きながら、一つ一つ頭に入れていく。 「夜以外は、動きを最小限にすることだ。」 『なるほどぉ…相手の目を欺きながら、相手の視界に入らないように近づくってことね。』 「よぅし、いいコだ。」 おじちゃんが頭を撫でてくれた。 『よーし!やるゾ!』 「では、次の段階を説明する。」 『え?』 まだあるんかい…!?
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