2人が本棚に入れています
本棚に追加
「ミク、疲れてないか?」
『あたしは全~然平気よ!』
「よし、じゃあ始めるが、その前に俺の話をよく聞くんだ。」
『分かったわ。』
あたし達二人は、人間が何人かいるとこを見つけ、その近くの草むらに潜んでおじちゃんとミーティング中。
「何度も言うが、人間から血を吸うことはかなり至難の業だ。」
『…。』
無言で頷くあたし。
「あいつらから血を吸うためにはさまざまなテクニックが要るから、それをすべて頭に叩き込め。」
『うん!』
「まずは相手の様子を伺え。じゃあ、そうだな…あそこにいる奴、なにしてる?」
『んと…本を読んでるのかな。』
「そうだ。ああいう奴から血を吸うのは極力やめとけ。」
『どうして?』
「気付かれやすいからだ。ああやってじっとしてる時は、わずかな感覚にも感付かれやすいんだ。」
『そ、そうなんだ…。』
あたしは、ごくっと唾を飲む。
『おじちゃん、じゃああそこで向かい合ってお話中の二人は?』
「ああ、あれはもっと危険だ。」
『どうしてなの?』
「視野が広いからだ。二人が向かい合ってるってだけで、視野が2倍になる。」
『つまりは、あたし達の存在に気付かれないようにすることが第一なのね?』
「その通りだ。さすが、クレスタの娘だ。物分かりが早い。」
『えへへ。
…でも、気付かれないようにするにはどうすればいいの?』
「それを今から説明する。いいか、人間の視界は基本的に180度。だから、正面と真横から近づくのは危険だ。」
『後ろから近づけばいいの?』
「それがベストだな。だが、人間は動きが器用だ。後ろから近づいても、振り向かれる可能性がある。」
『え…それじゃあ、ちゃんとしてても叩かれる可能性が高いってこと?』
「いや、ちゃんとするということは、視界に気を付けることだけじゃない。近づき方にもテクニックがいるんだな、これが。」
『へえー。どうすればいいの?』
「原則として、低空飛行することだ。俺達は幸い、体が小さいから地面と同調しやすい。」
『うんうん。』
2度3度頷きながら、一つ一つ頭に入れていく。
「夜以外は、動きを最小限にすることだ。」
『なるほどぉ…相手の目を欺きながら、相手の視界に入らないように近づくってことね。』
「よぅし、いいコだ。」
おじちゃんが頭を撫でてくれた。
『よーし!やるゾ!』
「では、次の段階を説明する。」
『え?』
まだあるんかい…!?
最初のコメントを投稿しよう!