第2話 試練

5/16
前へ
/120ページ
次へ
おじちゃんとのミーティングは、結局夕方近くまで続いた。 とにかく長くてちょっと疲れたけど、人の血を吸うことの奥深さを改めて知らされた。 段階1は、前にも書いたように相手の視界と近づき方。 段階2は、着地の方法。 皮膚に止まる時にいかにそーっと止まるかってこと。 これもなんか長々とレクチャー受けたけど、詳細は省くね(汗) 段階3は、血を吸う時。 お口を皮膚に刺す時は、感付かれないように毛穴っていう穴を狙って刺せって言われた。 いくらちっちゃなあたしが刺しても、人間にはわずかにチクッと感じるんだって。 最後の段階4は、相手に気付かれた時。 相手は当然、攻撃してくる。 だけど実際、人間の叩くスピードとあたし達蚋が飛び立つスピードを比べると、あたし達の方が早いの。 でも、それが血を吸ってる最中なら別。 人間の手が届くまでにしなきゃいけないことは、お口を皮膚から抜いて…飛び立つ…という、2挙動になってしまうの。 人間にやられた蚋の多くは、それが原因なんだって。 「以上だ。なにか質問はあるか?」 説明を終えたおじちゃんが、あたしに質問を求める。
/120ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加