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「ミク、少し休憩するか。」
『うん!』
あたしは、おじちゃんと一緒に近くの木の葉っぱの陰に止まった。
「いい筋だったぞ、ミク。お前はきっと、クレスタに負けない立派な蚋になるぞ。」
『ホント!?』
「ああ。」
おじちゃんは、ゆっくり羽の手入れをしながらあたしに話す。
イージスおじちゃんは、お父さんの古くからの友人で、昔からよく遊んでもらってた。
お母さんも、おじちゃんと古くからの友人らしくて、あたしが生まれたのはおじちゃんのおかげなんだよってよく言われる。
よく分かんないけど…。(苦笑)
おじちゃんは、訓練してる時は厳しいけど、それ以外の時はとっても優しいの。
あたしのことを、まるで娘のように可愛がってくれる。
だからあたしは、おじちゃんが大好き!!
「ミク?」
『なに。』
「どうした?今日はなんか、嬉しそうだな。俺にも教えてくれよ。」
『ううん、なんでもないの。』
「ん?このイージスおじちゃんに隠し事をする気だなぁ?」
『隠し事なんてしてないもん♪』
「はっはっは。そうかそうか。」
『それよりおじちゃん、訓練の続きは?』
「おう、お前も元気だな。よし!もういっちょやるか!」
『うん!』
ついこの間までは、蚋に生まれたことを恨んでいたあたし。
でも今のあたしは、自分が蚋であることに誇りを持っている。
なんか、おかしいよね。
うん?
訓練では誰の血を吸っているのかって?
誰って…
山みたいに大きな…。
ううん、人間じゃないよぅ!
もっと黒い…。
いや、茶色かな?
危険じゃないかって?
叩かれたら一巻の終わりじゃないかって?
ううん、このコはそんなことしないよ。
動きがとってもゆっくりだし…。
え?このコの名前はなにかって?
みんなは「うし」って呼んでる。
うしさん、ごめんね!
血ぃ吸っちゃいますっ♪
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