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“ジロー”それは先代の猟犬タローにあやかって付けた名前で、先代に負けないようにとの期待の現れであった。
来る日も来る日も猟犬になるための厳しい訓練は続いた。少しでも命令を間違えば罰を与えられた。
何故こんな目にあうのだろうか?最初彼はそう思い続けた。だが、いつしか彼は間違えなければいいと思うようになった。間違えさえしなければ餌をもらえるのだから。
餌といっても今までにもらっていたドッグフードとかではなく、獲物となる動物の干し肉や時には生肉を与えられた。最初のうちは臭いに慣れずなかなか食べる事は出来なかったが、慣れてしまえればなんてことはなかった。
彼が秋を迎える頃には一端の猟犬になっていた。恵まれた運動能力を武器に飼い主の命令を忠実に実行し、獲物を挙げていった。
最初は銃声や血まみれの獲物が暴れる事に戸惑ったが、機械のように主人の命令をこなしていった。中には命乞いをする者もいた。だがその声は彼には聞こえなかった、いや聞こえないふりをしていた。そうでもしなければ生きていけなかったのだ。
ウサギや鴨などの小動物のみならず、イノシシなどの大型動物までも狩れるようになる頃には猟師仲間の間で一目置かれる存在となった。
さらに彼の存在を広める出来事が起きた。
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