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あぁまただ。
「ねぇどこ行くの?」
「どっ…どこでもいいでしょ」
「はぁ?何その態度。どこに行くのか聞いているのに何?」
それはこっちの台詞だ。あんたこそそれが人にきく態度か。
しかし私は無意識にそれを口走っていた。私に声を掛けた女はわざとらしく声をあげていう。
「うっわー逆ギレだよ!嫌な女~」
「……」
あぁ…早く教室出ないと紫堂さんに心配かけちゃう。
「あれ?お弁当の上に何か乗っかってるけど、それ何?」
「あ、返して」
思わず手を伸ばして取られたものに目を追う。
その時何も支えるものがなくなったお弁当が地面にぐしゃりと落ちた。
「あっ…」
「ちょっとまたゲロ吐いた~」
「きったな~い」
「片づけろよ」
「跪いて犬みたいに食えば?」
「ちょっ、それ何プレイだよ」
周りの野次馬達がまた何かいってる。
もう嫌だな…こんなの。私が何したっていうのよ…
「おい、そろいもそろって一人の女の子に何してるんだい?」
「っ!」
聞き覚えある声にドアに目を向ける。私の他の子達も同じように視線を向けた。
「…し、紫堂様」
誰かが小さく呟いた。
その瞬間私に意地悪した女子達がわっとなって紫堂さんに誤解を解こうとしてくる。
「ち…違うんです紫堂さん!私は何もしていません」
「そうです!それにこのお弁当だってあいつ…いえ、あの子がドジやってこぼしたんです」
「私達は何も悪くありません信じて下さい!」
目をうるませて訴える。紫堂さんはにっこりと微笑みを崩さないまま彼女達にいった。
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