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「………」
起きたてだからだろうか。
頭がふわふわというかぼーっとする。
あれから3日たった。謎な美青年、紫堂明日香と会って、3日たった今でもあの美しいお姿が頭の中に浮かんでは離れないのだ。
「紫堂さん…」
あぁ…貴方は今どこにいるのか…
そんな事を考えながらとぼとぼ歩き、もう少しで学校につく時だった。
「何ちまちま歩いてる!1-A、先原ありっ!!」
「えっ」
私は目を見張った。
俯いた視線を上げると門の前に一人立った学生がいた。
「あ…」
声を失う。それもその筈。私がさっきまで考えていた人が目の前にいたのだ。
「また会ったね、先原あり」
「紫堂…さん」
何でここに?
その私の考えはすぐに彼は読み取った。
「僕もここの生徒だからさ」
「せっ!え…嘘…」
「嘘ついてどうするのさ。ちなみに生徒会長様だから宜しく」
生徒会長?この人が?
信じられない気持ちで一杯だった。
そういえば生徒会長を私はまだ見た事がない。彼だったんだ……生徒会長。
だけどあれ?制服が他と違う…
「その制服…」
「ん?あ、これかい?少し改造しちゃってね。生徒会長とわかるように、ね」
片目でウインクする。彼はどうやら目立ちたがり屋のようだ。
「本当はこういう仕事は生活指導か風紀委員なんだけど、僕もやりたくなってしまってね。最近生徒会室に籠もってばかりだから声を張り上げたくなっちゃってさ」
あぁ、わかる。
彼、どうみてもインドアというよりはアウトドア派だものね。
「て事で。まだ遅刻にはならない君に声を張り上げてしまった。すまないね」
「い、いえ!」
それくらいならいくらでもお手伝いします……て、あれ?
「どうしたの?」
「紫堂さ…先輩ってもしかして3日前私と会う前から知ってました?」
「あぁ、うん。実は知ってた」
やっぱり。
嬉しいような悲しいような。
私は運命の出会いだと思ってたんだけどな…
「生徒会長だから全校生徒とクラス名は覚えているよ」
「凄い記憶力」
「そう?全校生徒を覚えるのは生徒会長としては常識さ」
「そ…そうなんだ」
私は記憶力悪いから生徒会に入れないな…
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