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「ありは生徒会に興味ないのかい?」
「え!」
今丁度思っていた所を突かれて動揺する。てか今、ありって……
「あ、ごめん。ありなんて軽々しいね」
「そ…そんな事ないよ!ありでいい」
「そう。じゃああり。生徒会に興味ある?」
「私じゃ無理…です。とろいし、目立つの苦手だし、計算だって苦手だし」
「計算なんて電卓打てば楽だよ」
「でも早く打てないから」
「そっか」
そういうと紫堂さんは強くこれ以上薦めなかった。
「あの…ごめんなさい」
「?何故謝るんだい?」
「だって、せっかく生徒会を勧めてくれたのに、断っちゃって」
「ああ、別に怒っていないから。いいよ。君は面白いね。そんな事で謝るなんて」
紫堂さんは愉快そうに笑った。
「面白い、かな私?」
「あぁ面白いよ。今まで僕の言葉には皆頷いた。だけど、ありだけは違った。凄く面白い。君といると退屈しなさそうだよ」
「あ、有難うございます」
なんだかそういってもらえると嬉しい。
「ねぇあり。今日のお昼一緒に食べない?」
「え?」
「校庭のベンチでのんびりと昼食を取りたいのさ。ねぇ、いいかい?」
「は、はい!!いいです!お昼いいです!」
「あっはははは。そんなに激しく頷いて可愛いな。君ともっと早く出会っていたらよかったよ」
紫堂さんはそういうと、私にとびきりの笑顔を向けてくれた。
それはとてもきらきらしていて王子さまの微笑みだった。
この時間が永遠に止まって欲しいと思う。
今だけは王子さまの笑顔は私だけが独占している。
きっと彼と別れたら彼の周りには沢山の私より綺麗な花達が側にいるだろう。
だから、今だけ。今この時だけ。
時間が止まって欲しいと思ってしまった。
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