ー第二章ー

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そして鼠はそのまま克幸の脇腹に牙を立てて噛み付き、そこから力任せに立ち上がって天井を叩き壊し、全身を大きく回転させながら克幸を地上へ投げ捨てた。 「ガ…ァア…」 地上の車道に投げ捨てられた克幸は腹の一部を食い千切られ、激痛に顔を歪ませながらその場に伏せているが、そんな克幸のすぐ側に、鼠自身も地上へ飛び上がってきた。 そしてそんな様子を察知したのか、近くにいた無数の住人達も、重い足取りでゆっくりと克幸の四方を囲み始めた。 克幸は腹から大量の血を零しながらゆっくりと立ち上がり、再び鼠に向けて鋭い目付きで睨み付ける。 「ブオォオオォォォォォ!!」 そんな克幸に向かい、鼠は再度物凄い勢いで頭から突っ込むが、克幸は素早く跳躍してそれをかわし、そこから鼠の背中に着地した。 一方鼠の足元では、それの直撃を受けた住人は遠くへぶち飛ばされて崩れ落ち、掠っただけの住人は身体の一部だけが飛ばされ、その場に倒れ込む。 克幸は鼠の背中の上で、指をパキパキと音を鳴らして爪を鼠の背中に深々と突き刺した。 すると、 「ブオォオオォォォォォ!!」 鼠はまた凄まじい奇声を発しながらバッと立ち上がり、背に乗っていた克幸はまたしても飛ばされる。
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