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克幸は鼠の口をかわして素早く体制を立て直し、同時に左腕を大きく縦に振るい、鼠の口を引き裂いた。
「ブオォオオォォォォ!」
痛みに悶えて前肢でそこを押さえる鼠の隙をつき、克幸はすかさず鼠の側面に向かう。
そしてそこから、
「…!!」
先程の鼠を真似、勢いよく鼠の側面に肩から体当たりをした。
その反動で鼠は半回転して仰向けになり、しかも肢に力が入らず上手く起き上がれない。
そして克幸はその仰向けになった鼠の腹の上に飛び乗り、
「………」
無言のまま不適に笑みを浮かべて指を鳴らし、また勢いをつけて、鋭い爪を大きく開いた鼠の腹の傷口に突き刺した。
「ブオォオオォォォォォ!!」
それには鼠も激痛でジタバタもがくが克幸はそれを堪え、鼠の体内で何かを強く握り潰し、同時に鼠はピタッと動きが止まり、脈も止まる。
それを見越し、克幸が突き刺した腕にグッと力を込めた瞬間、
「……!」
鼠の身体は、まるで風船のように一瞬膨張し、次の瞬間派手に破裂した。
「…………」
足場が無くなった事により克幸は一瞬落下するがすぐに着地し、直後にまた全身に光が包み込み、元の人間の姿に戻る。
「そう言や、あの研究所は地下にあったな…
…地下を当たってみるか…」
克幸は血で汚れた頬を手の甲で拭うと、また何処かへと歩き始めた。
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