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爪牙がその場から去ってから、時はもう数時間と過ぎていた。
「…………」
瓦礫の山に埋もれる克幸は酷く痛め付けられ、中々立ち上がれない。
そんな克幸を、涼香はまた塀の上に足を組みながら座り、気長に待っていた。
「克幸…、まだ起きれない?」
「…うぅ…」
涼香のその一言に、克幸は漸くゆっくりと立ち上がる。
涼香はそれを確認するとゆっくりと克幸に近寄り、今このエリアX内で起こってる現状を説明し始めた。
エリアX内で著しいカタストロフィが確認された時、国からある発令がされた。
『生き残りを賭け、殺し合え』
国はエリアX内に存命する成功作や住人達全てに、遥か上空からヘリを使ってそう呼び掛けた。
制限時間は七日とし、その間生き延びた者は国に保護され、エリアXの外に出る事を許される。
エリアX内の存命者の殆んどは、その発令を『ゲーム』と思って楽しみ、
『kurenai blood』
という愛称で呼んでいた。
これまでが、克幸が記憶を無くして目を覚ました前日までの話。
「何なんだよソレ?
国は中の奴らの事をどうする気なんだよ?!」
「………」
克幸はそう疑問をぶつけ涼香は一瞬黙り込むが、
「私の推測では、厄介な力を持った成功作や、救いようの無い住人を全滅させる事が、おそらくは国の目的…」
「…!!」
目線を反らし、そう答えた。
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