1274人が本棚に入れています
本棚に追加
克幸はそれを聞き終えると、何処かへと向かって歩き出した。
「克幸、何処行く気?」
「ここを出る…」
「…!」
克幸は今、地下研究所よりも先ずはエリアXの外を目指し、国の偉い者に真意を尋ねようとしている。
「止めときなさい。規則を破って外に出ようとすれば、法に従って銃殺されるわよ?」
「……!」
克幸はそれを聞いた途端、ピタッと足が止まった。
「まぁでも、あと六日間生き延びれば外に出られるんだから、それまで…」
「わかった、生き延びてやる…」
克幸は強くそう決意すると、涼香と別れを告げ、再び歩き出した。
その時、
「…!!」
またしても克幸の脳裏に記憶に無い映像が流れ始める。
「悪いが、私の名は秘密だ。
故に、人からは『Dr,ゲド』と呼ばれている。
人外的な研究をしている私にはピッタリのアダ名だろ?」
始めから度々現れる白衣を着た例の男が、そう自分に名乗る。
そして克幸は我に帰る。
「成る程、わかった…。
俺をこんな事に巻き込みやがったそのDr,ゲドとやらに、復讐してやる」
克幸はそう強く思いながら、歯を強く噛み締めた。
そんな克幸の背中を、涼香は心配そうに見送り、自分もフッと姿を消す。
最初のコメントを投稿しよう!