ー第三章ー

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克幸は心底驚き、咄嗟に右手の親指を鋭い犬歯で噛み切り、左手の中指の緋い爪に血を塗り、 「…!! アアァアアアァァァァァ…!!」 夥しく低い奇声を発しながら、青銀色の人狼に姿を変え、鋭い爪を鳴らす。 「アァアアァァァァ!」 克幸は間合い内に複数の牛が入り込むと素早く全身を回転させながら両腕を前後に翳して爪を起て、手の届く範囲にいた牛を纏めて引き裂いた。 しかし牛は奥からまだまだ現れ、回転を終えた直後の克幸はとある一頭の突進の直撃を受け、そのまま背後の壁に叩き付けられる。 「ガッ……ハ!」 克幸の腹にはその牛の角が突き刺さり、牛は大きく首を横に振って克幸を剥ぎ飛ばした。 そして克幸は地に叩き付けられてその地に伏せるが、そこに向かってまた複数の牛が向かって来ている。 克幸は激痛に表情を歪めながらゆっくりと立ち上がり、再度腕を翳して一気に引き裂こうとするが、 「おらぁ!!」 「…!!」 突然克幸の目の前に一人の男が現れ、右腕を縦に一振りすると同時に手前の大量の牛達は一斉に引き裂かれた。 「………」 克幸がその光景に目を奪われていると、 「おい余所見すんな、後ろ集中しろ!!」 「…!」 男はバッと克幸の方に振り向き、そう叫び掛ける。
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