ー第三章ー

6/14
前へ
/301ページ
次へ
克幸はその声に反応してすぐにバッと振り返ると、既にそこにも大量の牛が突っ込んできていた。 克幸はすかさず腕を振るって数頭の牛を引き裂くが、その背後からはまだまだ迫ってきている。 そんな大量の牛に手を焼いていると、 「ちょっと退け!」 「…!」 克幸の背後にいた男が克幸の肩を踏み台にして高く跳躍し、克幸の目前にて着地すると、 「…!!!」 その男は両手の人差し指・中指・薬指の黒い爪三本で自身の両頬を傷付け、低い雄叫びのような奇声を発しながら、 「グアァアアァァァァ!!」 克幸と同じように全身の身が剥がれ、次の瞬間、 「あんたも…成功作…」 その男は、二足歩行で黒い爪の白い虎に姿を変えていた。 そして男はその白虎に姿を変えると同時に、 「…!!」 物凄い勢いで牛の群れに向け、両腕を両翼から大きく内側に挟み込むようにして振るう。 「黒虎砂塵爪」 するとその場に一瞬風が吹き、あるモノは壁に叩き付けられて身が潰れ、またあるモノは克幸の足元に脚が転がり、いつの間にか、 「凄ェ…」 大量にいた牛の群れは、一秒にも満たないたった一瞬のうちに血の海に沈んだ。 そして男はフッと光に包み込まれて元の姿に戻り、同時に克幸も元の人間の姿に戻る。 それを確認すると男は、ゆっくりと克幸に向かって歩み寄った。 「そこの若ェの、名は?」
/301ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1274人が本棚に入れています
本棚に追加