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克幸はその声に反応してすぐにバッと振り返ると、既にそこにも大量の牛が突っ込んできていた。
克幸はすかさず腕を振るって数頭の牛を引き裂くが、その背後からはまだまだ迫ってきている。
そんな大量の牛に手を焼いていると、
「ちょっと退け!」
「…!」
克幸の背後にいた男が克幸の肩を踏み台にして高く跳躍し、克幸の目前にて着地すると、
「…!!!」
その男は両手の人差し指・中指・薬指の黒い爪三本で自身の両頬を傷付け、低い雄叫びのような奇声を発しながら、
「グアァアアァァァァ!!」
克幸と同じように全身の身が剥がれ、次の瞬間、
「あんたも…成功作…」
その男は、二足歩行で黒い爪の白い虎に姿を変えていた。
そして男はその白虎に姿を変えると同時に、
「…!!」
物凄い勢いで牛の群れに向け、両腕を両翼から大きく内側に挟み込むようにして振るう。
「黒虎砂塵爪」
するとその場に一瞬風が吹き、あるモノは壁に叩き付けられて身が潰れ、またあるモノは克幸の足元に脚が転がり、いつの間にか、
「凄ェ…」
大量にいた牛の群れは、一秒にも満たないたった一瞬のうちに血の海に沈んだ。
そして男はフッと光に包み込まれて元の姿に戻り、同時に克幸も元の人間の姿に戻る。
それを確認すると男は、ゆっくりと克幸に向かって歩み寄った。
「そこの若ェの、名は?」
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