ー第三章ー

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「問題無ェ、あんなヤローはただの雑魚だ」 次朗はすぐ目前にいた獅子を素手で殴り伏せさせると、克幸にそう言って滝弥を指差す。 それに対し滝弥は表情が一変し、次の瞬間怒り狂ったかのように高く笑い始め、近くにいた獅子を鋭い爪で片っ端から引き裂き始めた。 「ひゃっはっはっはっ、言ってくれんじゃねえかてめえら。 そんなでけぇ口を叩くくらいなら、俺様と殺り合ってみろよ!」 滝弥は指に付いた獅子の返り血を振り払い、口を大きく吊り上げて笑いながら、 「一瞬だ…」 そう言って舌を出し、突然それを噛み切った。 そして次の瞬間、 「オォオ…ォオオォオォォ!!」 滝弥は唸るように両手で顔面を抑えて前屈みになり、同時に背中が異様に膨らみ、皮膚を突き破って巨大な翼が生え出す。 そしていつの間にか頭髪は黒から白に変わり、全身の身が剥がれて下から羽が生え、口内から鋭い嘴が突き出し、滝弥は二足歩行の人型の鷲のように姿を変えていた。 「くくく…」 「……!」 滝弥はゆっくりと顔を上げて不敵に笑むと、翼を拡げて空に高く飛び上がる。 「ひゃっはっはっはっ! こっから一方的に引き裂いてやる! 成功作は飛べるだけで有利なんだよ!!」 そして滝弥は遥か上空で二人を見下しながら高く笑っていた。 それに対し、次朗は上に顔を向けて下唇を噛み締める。
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