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そして次の瞬間、
「ひゃっはっはっはっ!」
「…!!」
滝弥は、凄まじい勢いで次朗に向かい、急降下してきた。
次朗は咄嗟に両腕を交差して翳して滝弥の嘴を受け止めるが、勢いは止まらず、背後にあった柵に叩き付けられる。
「どうしたんだ次朗!
もうさっきの虎になれるんじゃ…」
すぐ隣にいた克幸はバッと振り返り、滝弥が再び空中に舞い戻ったのを見計らい、次朗の元に近寄って訪ねた。
しかし次朗は口元から零れた血を手の甲で拭いながら、
「くっ…まだダメなんだ。
オレのあの力は不完全でな、一回にあの姿でいられるのは最高十一秒が限界。しかも一度なると最低一時間はその姿にはなれない…」
「…!」
眉間にシワを寄せながらそう返す。
それを聞いた途端克幸も一瞬顔をしかめるが、その隙にまた、
「ひゃっはっはっはっ!!」
「…!!」
滝弥がまた、今度は克幸に向かって勢いよく急降下してきた。
克幸はそれに反応してすぐに右手の親指を噛み切ろうとするが、
「させねェよ!」
「…!」
克幸が親指を口に近付けるより速く、滝弥の嘴は克幸の右腕を捕らえ、克幸はそのまま遥か上空へと連れていかれた。
「ぐぁ…!」
「ひゃっはっはっはっ!
こっから落ちりゃ、まず命は無ェな」
克幸はそれで絶望感に苛まれるが、その時また、脳裏に映像が映った。
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