1274人が本棚に入れています
本棚に追加
『…0057…成功だ。
実験段階でまだ小さいが…人類の夢だ、思う存分その漆黒の羽根を虚空に拡げよ!』
「…!!」
滝弥は克幸の腕をくわえた嘴をフッと離し、同時に克幸は地に向かって凄まじい勢いで落下し始める。
その間克幸は、左手の親指を口内に入れ、
「っ…!!」
緋い爪を起て、思い切り内側から頬を斬り裂いた。
すると、
「アアァアァァアアァアァ…!」
克幸の銀色の頭髪は黒く染まり、更に全身から黒い体毛が生え、両手首から先がまるで鳥の爪のように鋭く尖り、背中から皮膚を突き破って2mを越える巨大な羽根が突き出した。
更に眼の色が真っ赤に染まり、口内からは黒い嘴が突き出し、いつしか、
「カアアァアァァアアァアァアアァアァァアアァアァ!!!」
人の原型を留めた、鴉の鳥人のように姿を変えていた。
「な…なんなんだあいつは?!あいつの能力は狼じゃなかったのかよ」
次朗はそれに驚き、叩き付けられた所で座り込んだまま、開いた口が塞がらない。
克幸は鴉に姿を変えると、地上数m程のギリギリの所で体制を立て直し、すぐに自身も高く飛び上がった。
「ひゃっはっはっはっ、面白ェ!そのまま引き裂いてやる!!」
それに対し、滝弥はまた狂ったように笑い始め、慣れない動きで宙を行く克幸に向かってまた急降下する。
最初のコメントを投稿しよう!