ー第三章ー

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『…0057…成功だ。 実験段階でまだ小さいが…人類の夢だ、思う存分その漆黒の羽根を虚空に拡げよ!』 「…!!」 滝弥は克幸の腕をくわえた嘴をフッと離し、同時に克幸は地に向かって凄まじい勢いで落下し始める。 その間克幸は、左手の親指を口内に入れ、 「っ…!!」 緋い爪を起て、思い切り内側から頬を斬り裂いた。 すると、 「アアァアァァアアァアァ…!」 克幸の銀色の頭髪は黒く染まり、更に全身から黒い体毛が生え、両手首から先がまるで鳥の爪のように鋭く尖り、背中から皮膚を突き破って2mを越える巨大な羽根が突き出した。 更に眼の色が真っ赤に染まり、口内からは黒い嘴が突き出し、いつしか、 「カアアァアァァアアァアァアアァアァァアアァアァ!!!」 人の原型を留めた、鴉の鳥人のように姿を変えていた。 「な…なんなんだあいつは?!あいつの能力は狼じゃなかったのかよ」 次朗はそれに驚き、叩き付けられた所で座り込んだまま、開いた口が塞がらない。 克幸は鴉に姿を変えると、地上数m程のギリギリの所で体制を立て直し、すぐに自身も高く飛び上がった。 「ひゃっはっはっはっ、面白ェ!そのまま引き裂いてやる!!」 それに対し、滝弥はまた狂ったように笑い始め、慣れない動きで宙を行く克幸に向かってまた急降下する。
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