ー第三章ー

13/14
前へ
/301ページ
次へ
克幸はふと滝弥が目前にまで近付いて来ている事に気付くと、ややぎこちない動きで半身ずらし、滝弥の嘴をかわそうとするが、 「あめェよ!!」 滝弥は克幸と擦れ違い際に脚を突き出し、克幸の腹部に降下の勢いを殺さぬまま蹴りを入れた。 克幸はそれに一瞬怯むがすぐに体制を立て直し、更に上空へ行く滝弥を追って自身も上へ行く。 「鬱陶しい野郎だな…!」 「………」 尚もしぶとくついてくる克幸に嫌気が差した滝弥はバッと宙を回って振り返り、鋭い爪を鳴らしながら克幸に飛び掛かろうとするが、 「…!!」 同時に克幸も爪を起て、それで一瞬速く滝弥の腕を掴み、一気に懐まで近寄る。 そして克幸はそこから滝弥の背に股がり、 「………落ちろ」 滝弥の背後から両腕を掴み、自身は右腕の親指を噛み切り、 「アアァアァァアアァアァ!!」 その場で次は人狼に姿を変えた。 「き、貴様っ! 降りやがれ!そんな重ェ奴ァ支えきれ……」 滝弥は一回り体格が大きくなった克幸の体重に耐え切れずに徐々に地に向かう。 しかし克幸は一人、不敵にニッと笑みを浮かべながら、もう一方の腕で滝弥の羽根の付け根に触れる。 「き、貴様、何する気…」 そして次の瞬間、 「ギャアァアァァアアァアァアアア!!!!」 克幸は滝弥の羽根をガッシリと掴み、力任せに思い切り引き千切った。
/301ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1274人が本棚に入れています
本棚に追加