ー第三章ー

14/14
前へ
/301ページ
次へ
滝弥は背中から夥しい量の血飛沫を噴き出し、凄まじい悲鳴を発しながら、克幸と自身の体重を支える羽根を失い、なすがままに二人一緒に地に向かって物凄い勢いで落下し始めた。 克幸は滝弥の返り血で面を汚しながら尚も滝弥の腕を掴み自由を奪ったまま、無言で地に向かうのを待つ。 そして地上数m程にまで来た時、 「……あばよ…」 「…!!」 克幸は滝弥の背を踏み台にし、バッと高く跳躍した。 その数秒後に克幸はフッと綺麗に着地するが、その足元では、 「……ア……ァア…ァ…」 滝弥が、無惨な姿で全身が押し潰され内蔵が飛び出し、息絶えていた。 そして克幸はフッと一瞬光に身を包まれて人間の姿に戻ると、すぐ近くにいた次朗に腕を上げて合図する。 「これが…『kurenai blood』だろ?」 「あぁ、違いない…」 克幸は、滝弥の血で汚れた頬を手の甲で拭うと、 「………」 若干少年の幼さが残るような、不敵な笑みを浮かべていた。
/301ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1274人が本棚に入れています
本棚に追加