†個性的な奴ら†

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「まぁ、律の心配も尤もだと思うがね」 意味深な口調で言われ、俺は反発した。 「でも、兄ちゃんのは行き過ぎだと思う」 昨日飛行機を降りて携帯の電源を入れたら、兄ちゃんからの不在着信の山だった。 ここまで行くと、過保護を通り越してストーカーみたいだ。 それを言うと伯父はツボに入ったのか、大声で笑い出した。 「あはははっ!ストーカーか。それを言われると、アイツも形無しだな」 「笑い事じゃないって!」 人のことなら面白いが、いざ自分のことになると笑えない。 「まぁ、アイツも可愛いものだよ」 ……兄ちゃん相手にそんなこと言えるのって、伯父さんくらいだと思う。 「あっ!」 俺は、はたと重大なことに気付いた。 「伯父さん。……もう、授業始まってるよね?」 伯父と話し込んでいてすっかり忘れていたが、あれから随分と時間が経っている気がする。 「ああ、そんなことか。理事長特権で、今日の授業は免除してやるよ」 「……伯父さん……」 あっけらかんと言われ、俺は絶対こんな大人にはなりたくないと思った。
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