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『俺は納得しないぞ。しかもよりによって聖和なんて!!』
「……?何がいけないわけ?兄ちゃんの母校だろ?」
私立聖和学園は、中等部から大学部まである一貫教育の学校だ。
偏差値がかなり高く、途中編入は狭き門だが、俺はその試験になんとか合格した。
褒められることはあっても、止めろと言われる理由はない。
『とにかく、あそこはお前みたいなヤツが行くのは危ないんだ』
「はぁ?」
はっきり言って、意味がわからない。
アメリカならまだしも、平和な日本で何かあるわけがない。
「兄ちゃんは心配し過ぎだって。それに向こうには、泉ちゃんも司もいるし」
『だから、それが心配……』
携帯の向こうから、兄ちゃんの叫び声が聞こえたが、無視して電話を切った。
兄ちゃんの相手をしてたら、いつまでも終わりそうにない。
俺は搭乗手続きをして、さっさと日本行きの飛行機に乗った。
兄ちゃんの心配が、現実になるとは思わずに――。
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