古びた教会

4/4
前へ
/17ページ
次へ
「私、懺悔に来たんです」 女は唐突にそう言うと歩きだしました。 カツカツ、と靴音をたてながら男の横を通り過ぎると祭壇の前に跪きました。 「神父様の代わりになってくださらない?」 祈るように瞳を閉じたまま、女は言いました。 男は沈黙したまま、近くの机に腰掛けます。 そこは女の後ろで、決して祭壇には登りません。 それでも、女は懺悔を聞いてくれることが分かり、薄らと微笑みました。 「私は愛した男を殺しました」 そうして、女は語りだしました。
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加