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「私、懺悔に来たんです」
女は唐突にそう言うと歩きだしました。
カツカツ、と靴音をたてながら男の横を通り過ぎると祭壇の前に跪きました。
「神父様の代わりになってくださらない?」
祈るように瞳を閉じたまま、女は言いました。
男は沈黙したまま、近くの机に腰掛けます。
そこは女の後ろで、決して祭壇には登りません。
それでも、女は懺悔を聞いてくれることが分かり、薄らと微笑みました。
「私は愛した男を殺しました」
そうして、女は語りだしました。
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