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3日後..
優は退院した。
山本の葬式も終わり、通常の生活に戻ろうとしていた。
プルルル~♪
優のケータイが鳴る。
吉田さんからだ。
「優、今日学校が終わったら、店に来てくれ。」
用件を言うと吉田は返事も聞かずに電話を切った。
優は今日は行くつもりじゃなかったが、呼ばれたので行くことにした。
山本さん..
優の頭からは山本が離れない
思い出がたくさんある
涙が溢れてきた..
NERに着くと、そこには深紫のZが置いてあった。
VeilSideのフルエアロ
乗りたかったZ
一番好きな車
一番好きなエアロ
だけど優は蒼いZに乗りたかった。
みんな知っている。
だから自分のじゃないと思い、少しがっかりした。
「まだ高2だし、あり得ないよな..」
一人でつぶやきながら、Zに見とれる。
深紫..
光に当たり、微かに紫色に見える..
山本さんの33Rと同じ色
しばらくすると、吉田さんが店内から出てきた。
「優!元気か?カッコイいZだろ?」
吉田が笑いながら優に話しかける。
少しひきつった笑顔
山本の話は何故かしない
気を使ってくれているのだろう..
だが、優はZに見とれすぎて、その表情までは気づかなかった。
「体も全然痛くないし、大丈夫だよ!このZ、すごいオーラが出てる..」
「俊二のZを改造したんだ。エアロ変えて色も塗り直して、パワーも少し落としておいたよ。」
吉田が話始める。
「今日からお前のZだ。でも、まだお前は16だろ?この前のことも踏まえて、乗るか乗らないか考えてみろ。」
「俊二さんのZじゃ..」
優はあのときの言葉を思い出し、口を止めた
「俺が降りるときは、貴が降りるときだ」
「俺が降りたら、お前にZをやるよ」
優はすぐに返事をした。
「..乗る..乗るに決まってる!!」
(そして..あのFDを撃墜す..)
優の決意は固かった。
吉田は笑いながらZのキーを渡す。
「これだけは覚えておけ。車は..いつだって裏切ろうとしている..じゃあな」
と言うと吉田は店内に戻ろうとした。
優はZを見ながら吉田に聞いた。
「なんで..紫なんすか?」
吉田はこっちを見ず答えた。
「俊二が紫にしてくれって言ったんだよ。気に入らないか?」
優はううんと否定しZを見つめる。
今日から俺のZ..
あの時の思い
今実現させてやる..
優とZの物語は始まったばかりだ..
伝説の始まり END
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