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ため息をつきながら、のそのそと、準備を始める。
適当に布団を畳み
着替える前にご飯を食べ
歯を磨き
着替えて学校に行くだけだ。
30分もあれば出来る。
…が
私にはいくつかの『障害物』がある。
布団を畳んだ私は、ふすまを開けて顔を洗い、ご飯を食べる。
その間に現れるのが…
渚「……」
上半身裸の弟。
ふすまを開けた瞬間にこれなのだから、ほんと嫌になる。
別に意識はしていないが、というより、そういう気さえ湧いてこない。
留まるのはたった0.3秒。
残り29.59.7秒になってしまった。
何と無駄な時間。
すたすたと畳を踏み歩きながら思う。
あれが『障害物その①』
その②は、もうでてくる。
「渚~!今日の授業何があんの~!?」
向かいの部屋から男が顔を出す。
寝起きらしい。
歳は渚と同じだ。
頭をカリカリ掻きながら、私の方に向かってくる。
ほら来た。
渚「優也、髪はねてる。」
ゴキブリの触角を思わせるはね度。
そういやあ最近姿を見かけない。
その日の為にキンチョールを3本も用意しているというのに…。
優「かみぃ~?髪なんかよりさぁ、時間割教えろよ。」
幾分、態度のでかくなった優也が通り過ぎようとする私を、何かとせきとめる。
…あんまり私と変わらない身長。
同情した。
その微妙な変化に優也が気付いたのか、顔をしかめる。
優「何?俺、何かした?」
渚「ゴキブリ」
優「は…!?」
渚「別に」
優也と会話しつつ時間割のプリントを鞄から引きずり出し、会話終了と同時に胸に叩きつけた。
3分18秒。
また時間が減った。
小学生の弟が私と優也を見ていたみたいだが、私は気付かぬフリをした。
興味なし。
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