東方SS 花に囲まれて

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アリスは死の恐怖から目をつぶった。   しかし…   いつまでたっても棍棒はアリスに振り下ろされなかった。   ――えっ…?   そういえば自分の頭上をシュン!という音が通りすぎた気がする…   ということは…   「外した…の?」   アリスはつぶっていた目をゆっくりと開けた。   そして……   アリスの目の前にはアリスの最愛の人が立っていた。   「魔…理沙…?」   「アリス、大丈夫か?」   魔理沙の右腕には折れた箒が握られていた。   「間にあってよかったぜ…っつ腕が痺れた…」   「魔理沙…箒…」   「こんなのすぐ直るから大丈夫だぜ」   そういい、魔理沙は目の前の巨人に向き直った。   巨人は予期せぬ乱入者に憤慨を隠せぬようで、棍棒を音がでるほどにぎりしめている。   どうやら…魔理沙が箒で棍棒の軌道を逸らしたようだ。   「アリス!伏せろ!」   突然、魔理沙がアリスに叫んだ。   アリスは何か分からぬまま思考を中止し、その場に伏せた。   またブン!という音が頭上で聞こえた。   「アリス、下がれ!」   魔理沙はアリスに背中を向けたまま、叫んだ。   何がなんでか分からぬがここは魔理沙に従っておいたほうが良さそうなのでアリスは大人しく後ろに下がった。   巨人はまた棍棒を外した怒りを咆哮に変えて表している。   「やっぱり知能は低いみたいだぜ…単純な攻撃しかできないなら能力が使えなくても勝機はある!」   そういい、魔理沙は帽子の中から…   球体状の何かを取り出した。   「こっちだ!巨人!」   魔理沙はそういい、アリスとは反対方向に走った。   その時に近くにあった木の棒も巨人に投げておく。   巨人は魔理沙に対して顔を怒りに歪ませた。   魔理沙に向かって走ってくる。   しかし、魔理沙との距離はなかなか縮まらない。   巨人は怒り狂い、魔理沙に向かって棍棒を投げ付けてきた。   ――来た!   魔理沙はそれをステップで避け、巨人に向き直って一気に巨人との距離をつめる。   巨人は驚き、魔理沙に向かって鉄拳を繰り出してきたが魔理沙はそれをまた屈んでよけ、   ピンッ……   手に持っていた球体状の物の安全ピンをぬき、巨人の足元に転がして、一気に離脱した。   そして………   大きな音をたてて、それは爆発した…。
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