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自分の足が地から離れたのを感じた。
――……えっ?
そして遅れて自分の背中に強烈な痛みが走る。
「ぐっ!!」
アリスはそこで自分がなにかに当たり、前に吹っ飛ばされたということを理解した。
アリスはそのまま地面にたたき付けられた。
口の中に血の味が広がった。
アリスはチカチカする目をあけ、何かが当たった方向を見た。
そこにいたのは……
巨人。背丈はアリスの二倍あり、足も腕も図太い。
そして麻の服を着ている。そしてチカチカする目でも確認できるほどの濃い緑をした体。
その巨人は地面に落ちている棍棒を広いにこちらにノシノシと歩いてきていた。
――あれを投げられたのね………
アリスはその場から立ち上がった。
巨人はアリスの動きに気付き、棍棒を広い、こちらに向き直った。
――上海人形さえ使えればこんなのすぐ倒せるんだけど…
巨人はアリスを敵と認識してるらしく咆哮し、こちらに向かってきた。
――上海人形が使えないいま、うまくまくしかないわね…!
あの図体からして、大して速くないはず…!
アリスは巨人が迫ってくる反対の方向に足を向けた。
しかし………
ドンッと音と共に本日二度目の強い衝撃が走った。
――…えっ?
自分の体が今度は横に吹っ飛ぶのを感じるなか、視界の隅で棍棒を振り切った巨人の姿を捉えた。
――嘘……!速い…!
ドン!という音と共にアリスは後ろの木に当たった。
そしてアリスが当たった木は音をたてて後ろに折れた。
――こんなに力が強かったんだ…人間だったら即死ね…
アリスは痺れる体に鞭をうって立ち上がろうとし気付いた。
――人形がない!
アリスは周りを見渡そうとした。
しかし…それよりも早く、目の前に巨人の姿があり見えるのは巨人だけ。
横を見ようにも殺られるかもしれない恐怖からか巨人から目を離せられない。
巨人はもう一度咆哮し、棍棒を振り上げた。
――あぁ…人形…無駄になっちゃったな…
巨人はアリスに向かって棍棒を振り下ろした…。
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