5人が本棚に入れています
本棚に追加
「卯月さん、面会ですよ」
「んん……あと5分……」
「給食いらないんですか?」
「給食っ!?」
「っ!?」
頭に鈍い衝撃が走って、情けなく寝惚けた目を擦る。
目の前には相も変わらずのポーカーフェイスで、少し赤くなっている顎を撫でている皐月。
だがその瞳には、ありありと怒りの色が宿っている。
「あ、ごめん……」
「……面会ですよ。相沢葉月さんだそうです」
「え…葉月!?」
ガタッと、また派手に音を立てて立ち上がる。
今度こそ椅子が倒れて、周りの幾つかの机やら椅子やらも倒れた……って、我ながら勢いつけすぎ。
「何だよ、兎。彼女か?」
「煩いな!!机、壊されたいの!?」
「それは困るっ!!てか倒した机と椅子戻してけっ!!」
「そんな余裕ないっ」
クラスメイトにからかわれつつ、ドアのところまで急ぎ足で向かって行く途中にふと後ろを見ると、皐月が机と椅子を元に戻してくれていた。
そういう冷静さは流石だと思う。
そんなことを思っている内に、僕はドアの前についた。
これ以上、野次馬精神丸出しの奴らにからかわれると面倒だから、葉月の背中を押して屋上に移動する。
葉月は不思議そうにしているけれど、僕の頭は軽く混乱しているため、説明してあげられなかった。
……まぁ、説明したくないってのも、ちょっとあったんだけど。
最初のコメントを投稿しよう!