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彼女の家は、普通の家と言うには立派過ぎるくらいの大きさだった。
「此処?」
「はい」
彼女がそうにっこり微笑むと、高く大きな、頑丈で厳重そうな造りの柵が、自動で開いた。
僕の家よりは少し小さいから特に驚くこともないけれど、普通よりもはるかに大きい家に住んでいるということは、彼女の家は裕福なんだろう。
考えを巡らせている僕を軽く促して、玄関らしき場所まで彼女は進んで行く。
かなり遠い距離だったけど、僕達は何も言葉を交わさなかった。
「少し待ってて下さい」
彼女は玄関前に着くと、電子画面のついた、指紋で鍵を開ける装置に手のひらをつけた。
ガチャッと重い音がして、僕達を出迎えたのは。
「お帰りなさいませ」
沢山の執事と、沢山のメイドたちだった。
執事とメイド達が綺麗に声をハモらせ、一斉に頭を下げる光景は、これまた圧巻。
僕の家の使用人も数は多いけど、出迎えは少ない。
(彼らの仕事の内に、゙出迎え゙も入っているのかな…)
あまり慣れていない光景に、茫然としながらも、そんなことを考えていた。
あまりに冷静過ぎる自分に、少し自嘲気味に苦笑していると、目の前にある綺麗なカーペットが敷かれた長く高い階段から、女の子が降りてきた。
「あっ、葉月姉、お帰りっ!!」
めざとく僕達を見つけると、その女の子は走ってきて。
勢い良く、僕の隣にいる彼女に抱きついた。
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