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一番最初に目に入ったのは、何故か驚いた顔でこちらを覗き込んでいる蕨の姿。
「大丈夫…?私が、分かる?」
彼女は眉を下げて心配そうにそう問いかけてきた。
「わらび…」
まだ視界がハッキリとしないまま、そう答える。
すると彼女は、少しだけ泣きそうな顔でコクコクと2,3度頷いた。
ここは…どこだ?
何よりも先に浮かんだ疑問はそれだった。
斗志は蕨から目を離し、ぼんやりと考える。
状況がよく分からない。
深い深い眠りから覚めたような、そんな気分だ。
とりあえず、まだ開き切らない目をゆっくりと動かしてみる。
すると、正面にはまず白い天井が見えた。
次に、右。
棚の上に置かれているのは、数本の花が刺さった花瓶。
その向こうにある窓ガラスに目をやれば、何となく懐かしい青空が映し出されていた。
総合して考えると、どうやらここは病院らしい。
部屋には白いベッドがいくつか並んでいる。
斗志はその一つに横になっているらしかった。
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