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「終わったんだな…」
そう呟くと、2人が同時にこちらを見た。
「やっと終わったんだ…メアリー・ケイが」
そして昔、蓮見家で起きた悲しい事件も…
メアリーの発見と同時に、ようやく幕を閉じたのだ。
きっとこんな悲劇が繰り返されることは、もう金輪際無いだろう。
「うん…」
蕨がそう言って頷いた。
だがその言葉とは裏腹に、彼女はどこか腑に落ちないような表情を浮かべている。
「蕨?」
そう呼ぶと、蕨は顔を上げて斗志を見た。
どうした?と聞けば、何やら困ったように眉を下げる。
「こんなこと…私の口から話していいのか…分からないけど」
言うか言わないかを迷うようにそう口にする。
「何?」
斗志はその先を促した。
「うん…」
蕨は決心したように一呼吸置いてから話し出す。
言葉を選ぶような、ゆっくりとした話し方だった。
「あのね…」
千秋とまともに喋ったのは、それから1週間後のことだった。
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