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「いや~マジ動けねぇ。死ぬかと思った」
「なんだ、割と元気そうじゃん」
ようやく痛みが和らぎ、歩けるようになった頃。
斗志が病室に面会に行くと、ベッドに横になったままの千秋がニヤリとこちらを見た。
「元気な訳あるか。俺、銃で撃たれてんだぞ」
そうグダグダ言い続ける千秋を軽くあしらい、斗志はベッド脇に軽く腰掛ける。
そして改めて千秋の顔を覗き見た。
「よぉ。俺たち、生きてたな」
「…おう。おかげさまで」
長年の親友に再会を喜ぶ声を掛けるのは照れ臭い気がしたが、どうやらそれはお互い様だったらしい。
2人の再会の言葉はそんな短い会話で終わった。
斗志が口を開く。
「蕨と会った?」
「あぁ、毎日くる。うぜー」
「じゃぁ聞いた?幸枝さんのこと」
「あ?…あぁ、まぁな」
千秋は複雑な表情を浮かべ、頭を掻いた。
それもその筈。
蕨によると、どうやら今回のメアリー・ケイは幸枝が仕組んでいたものだと言うのだから。
その理由について、蕨は斗志たちに詳しく話してくれていた。
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