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「え…?」
ドクン
久しぶりに心臓が嫌な音を立てる。
「重軽傷…?」
千秋も食い入るように画面を睨み、声を上げた。
あんな丈夫な床が崩壊だと…?
いや、有り得ない。銃声すら通さない程の、あの分厚い床が…?
首筋に、何かヒヤリとしたものが流れる感覚がした。
まさか、まだメアリー・ケイは終わってないとでも言うのか…?
いや、でも確かに自分の目で確認したのだ。
そんなことある筈がない…
ドクン ドクン
しかし、そんな思考とは裏腹に鼓動は速くなるばかり。
その時、何故だろう。
心臓の音と共に斗志の頭の中に浮かんだのは、蕨から聞いた幸枝のあの言葉だった。
「強すぎる…想い…」
ぽつりと呟くと、千秋が眉をしかめてこちらを見た。
「いや、まさか…」
言わずともその意味を察したのか、千秋はそう否定する。
「でも…」
でも、何となく。
何か小さなわだかまりが引っ掛かって、ただ後味の悪さだけが胸に残る結果となってしまった。
“強すぎる想いは、時に思念となってそこに残ってしまうから”
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