約束のホームで待ってて

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1 「里子、おはよう。」 「みかちゃん、おはよう。」 教室の扉の前で、友達と挨拶を交わす。 今日もいい天気! 神田里子(かんださとこ)都立高校二年生。 勉強・顔・スタイルは人並み。性格…引っ込み思案。 友達は、あっちゃん・ひろちゃん・みかちゃん・ともちゃん。いつも5人で行動している。 好きな科目は国語。嫌いな科目は体育。だって、どんくさいから。 好きな人は… 「新井!」 ピクンと体が反応する。 「昨日のジャンプのさぁ…」 神経を研ぎ澄ませて、会話を聞いてしまう。 新井匡(あらいただし)バスケ部所属。次は彼が主将だろうと噂される程の腕前だ。 「里子さん?」 わざと、さん付けして私を呼ぶともちゃんこと。石澤巴(いしざわともえ) 「何?」 「告白しないの?」 「―!なん!何いきなり!」 恥ずかしくなって、どもってしまった。 「ひろ達も気付いてるよ?本人に気付かれる前に、しなさいな。」 「な!いつから…。」 恥ずかしくて、顔を隠しながら聞くと。ともちゃんは、ケロッと言い放った。 「最初から。」 ガタガタ! 私は、震える足で至る所を机や椅子の脚にぶつけながら立ち上がった。 「里子?」 周りからの視線に気付くと、パニックになって勢いよく走り出した。 「あ!里子!」 私は無我夢中で走った。 途中、転びそうになっても走った。よくぶつからなかったと思う。そして、図書室へ入った。誰も居ない。 「良かった。誰も居ない。でも、授業どうしよう…。」 「サボれば?」 「え!あ。先生…。」 目の前には、化学の佐田美弥先生が居た。 「たまに、サボる青春も必要よ?型にハマってたら、つまらん大人になるからさ。」 「はぁ…。」 その台詞に驚いて、どう答えたらいいか解らない。 「で?」 「へ?」 「サボリの理由は、男?」 「な!なん!」 顔が真っ赤になってることは、自分でも解ってた。 「あら。図星?可愛いのね。」 「からかわないでくださいよ。私だって、どうしたらいいのか…。」 「クラスメート?…みたいねぇ。」 全て顔に出てるんだろう。 先生は苦笑していた。 「ごめんね。からかい過ぎたわね。クラスメートと言えば…新井君、転校するみたいね。」 「―え?」 「昨日、担任の深法川先生と話してるの聞いたのよ。」 途中から、先生の話は耳に入らなかった。 “新井君が転校する。居なくなる…”
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