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そんな2人を見て、素直に私は思った事を口にした。
“仲いいね”と。すると、勢いよくともちゃんは否定した。
「そんな事無いわよ!ただの腐れ縁よ!」
「え。ともちゃん?」
「あ…ごめんね。悪いけど、この本も返して来てくれる?私は、教室で待ってるから。」
「あ。―解った。」
私はずっと無言だった市川君をそっと見上げると、痛そうな顔をしてた。
心が痛いって、言ってるみたいに思えた。私から見れば、2人は両想いだと思うけど…。
「じゃ、俺は部活に行くよ。」
と、市川君はともちゃんじゃなくて私に言う。
「うん。頑張ってね。」
「サンキュ。」
無理矢理に笑って、市川君は走り出した。見送ってから、ともちゃんに私は話し掛けた。
「一緒に図書室行く?」
「うん。」
トボトボと足取り重いともちゃんを、気遣いながら向かった。何だか、切ない。
人を好きになるって…切ない。
図書室へ向かってると、職員室の扉が開いた。
「失礼しました。」
新井君だった。
でも、彼は私の存在に気が付くと走り出してしまった。
「ともちゃん。私、嫌われたかも。」
「何かやらかしたの?」
首を横に振る。
「解らないから、辛いぃ。」
言いながら泣いてしまった。
でも、ともちゃんは私に優しく言った。
「里子の恋はね。里子の勇気で明るい方向へ進むよ。」
と…。
私は、“ともちゃんは?”と聞きたくなったけど止めた。
痛いから…。
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