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初めて彼を目にしたのは、眩むほどに白く広がる海岸の上。潮騒の音を聴いていればどこからともなくピアノの音がきこえるではないか。
当時の私は躁鬱を抱えており、これもまた病んだ精神が弾く幻聴であると踏んでいた。けれど、本当になんとなく。私は音がする方へと足を向けていた。
幻聴の次は幻視までするようになるとは。
白い浜辺に足を沈み込ませた、それ以上に白いピアノが置かれているのだ。
ため息に似た、感嘆の声を漏らすと私はそれへと歩み寄った。
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