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「そう云えばこのまえ結城さんと一緒にいませんでした?」 と僕。 結城さんは大学時の美竹先輩の彼氏だ。そのあとふたりは別れたのだけれど、たまたま一緒にいるところを目撃してしまった。 「見てたの?」 「ええ、僕、目が良いんですよ。宇宙飛行士目指してたから」 「それパイロットでしょ?」 「そうでしったっけ」 「そうよ」 先輩はゆっくり入ってくる電車をじっと見つめていた。 なんでだろう。 いとおしくて。 悲しくて。 目の前にいるのにとても遠く感じる。 美竹先輩も何かを偽ってるのだろうか。
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