377人が本棚に入れています
本棚に追加
「そう云えばこのまえ結城さんと一緒にいませんでした?」
と僕。
結城さんは大学時の美竹先輩の彼氏だ。そのあとふたりは別れたのだけれど、たまたま一緒にいるところを目撃してしまった。
「見てたの?」
「ええ、僕、目が良いんですよ。宇宙飛行士目指してたから」
「それパイロットでしょ?」
「そうでしったっけ」
「そうよ」
先輩はゆっくり入ってくる電車をじっと見つめていた。
なんでだろう。
いとおしくて。
悲しくて。
目の前にいるのにとても遠く感じる。
美竹先輩も何かを偽ってるのだろうか。
最初のコメントを投稿しよう!