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神父の日々
「――全ての命は、神により生まれ死した時は神の元へ戻り、また新たな命が生まれるのです」
聖書を開きその内容を読みながら教会の長椅子に座る人々に向けて慈愛の意を込め、凛とした声が静かに響く。
「人生とゆう長い道のりに迷い、悩む時…そっと心の中で神に聞いてみてください。神はきっと、貴方方に答えを導くでしょう…」
パタンと音を立てて分厚い聖書を閉じれば祈りに来た人々は深く頭を下げ、暫くしてから聖書を読んでいた神父に頭を下げて出ていく。
神父も人々の姿が見えなくなるまで、首に下げた十字架を軽く握り深く頭を下げた。
「さて……今日の礼拝は終わりに…」
ぐぐっ、と腕を上に伸ばしポキポキと鳴らしながら裏庭の花に水を与え様とした時
裏庭に、傷だらけのワーウルフの青年が倒れていた。
青年は顔を地面に付け表情が伺えないが、露出されたたくましい腕や足には切り傷や打撲の後やらがあった。
薄く地面に赤い血が落ちていた。
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