入学式の朝に

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「…誰がちっちゃいって?」 プルプルと震える手を握りしめ、圭二郎の腹を目掛けて拳を繰り出す。 が、あっけなくその手を掴まれる。 「名瀬ちゃんは腕も短いからパンチが届きませんねぇ」 同情の目を向けながら首を左右に振り、 「名瀬…、留年しちゃったんだ?そんなに馬鹿だったのか…。でも!例えお前が1年下の後輩になっても、俺達はずっと友達だ!!」 (いや、留年なんかしてないし) わざとらしく熱く語る友人を無視すると、一通り笑い終えた少女に 「どうしよう、これ…」 自分の制服をもう一度見ながら、みるみるうちに肩ががっくりとさがっていく。 「あぁ…」 そんな名瀬を見て、これ以上彼が傷つきそうな発言は控えようと、曖昧な返事しかできないでいると 「式が終わるまで、隠れてれば?さすがにその恰好は目立つでしょ」 空気を読めない無神経男・圭二郎の一言で、少女の心遣いは見事に無に帰される。
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