入学式の朝に

10/12
前へ
/49ページ
次へ
美しいレンガ造りの建物に入ってみると、ひんやりとした空気に身震いした。 (まったく、初日からついてないな…) 自分の呑気さを実感しつつ、何処か落ち着ける場所がないか探索する。 長い廊下を真っ直ぐ進む。これまで誰とも擦れ違っていない。どうやら入学式が始まったのか、校舎の中には誰もいない。 窓の外を覗くとそこは、陽の光を一身に浴びる、一面のクローバー畑。 「わ…すげぇ」 両開きの窓を開け放ちサッシに手をつくと、ヒラリと外の世界に飛び出てしまう。 名瀬は着地のため、すぐ下を見ると、そこに人影が… ヤバイと思った時には、すでにその人影は名瀬の尻の下に敷かれていた。
/49ページ

最初のコメントを投稿しよう!

971人が本棚に入れています
本棚に追加