入学式の朝に

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「痛…」 尻の下から声が聞こえ、慌てて飛び退く。 「ご、ごめん!こんな所に人が居るなんて思わなくてっっ」 外壁に寄り掛かりながら座ったままの人影をみると、高等部の制服を着ている。左胸には新入生がつける碧い薔薇模様のブローチ。 「新入生なんだ?!俺もなんだ。よろしくな」 手をとって助け起こすと。 しなやかな身体にすらりと伸びた手足。 癖のない黒髪はさらさらと風に靡いている。 (うわぁ、すごい男前!) 「本当ごめん。大丈夫か?」 「…大丈夫だ。そろそろ時間だったし、例え腹に乗っかられて無理矢理起こされたとしても、ちょうどよかった」 「そんな言い方じゃ言葉通りに受け取れない…」
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