入学式の朝に

12/12
前へ
/49ページ
次へ
「ところで、俺は高校生だ。その制服はうちの附属中学の制服だろう。という事はおまえは中学生、俺とおまえは同じではない」 美形の男はそう言い放つと、一度も名瀬の顔を見ることなく歩き去った。 「へんなやつ」 (ま、こんな恰好してる俺も悪いんだけどさ。) 気を取り直してクローバー畑を眺める。 朝露が微かに輝いて見えて、まるで小さなダイヤモンドをたくさん散りばめたようだ。 「キレイだな……。 さ、寝よ寝よ」 たくさんのクローバーを避けながら陽の光が当たる暖かい場所を見繕い、横になると目を閉じた。
/49ページ

最初のコメントを投稿しよう!

971人が本棚に入れています
本棚に追加